難病で苦しむ生活保護受給者に朗報――。厚生労働省は今年3月から、保険適用外の未承認薬による治療費も、命にかかわるなどの一定条件を満たせば、生活保護の給付対象とすることを決めた。難病の多発性骨髄腫にかかり、保護費受給を余儀なくされた福岡県北九州市のSさん(59)の叫びを全身で受け止めた公明党福岡県議団の壹岐和郎議員と桝屋敬悟衆院議員(公明党)の尽力で実ったもの。5月29日、壹岐議員の訪問を受けたSさんは、心からの謝辞を寄せていた。
 「精神的な負担も減り、安心して治療に専念できます」――。保険適用外の未承認薬の一つ、サリドマイドを服用しながら懸命に治療に励むSさんは、朗報に涙を浮かべ安堵の表情で喜びを語った。
 これまで、サリドマイドなど保険適用外の未承認薬による治療費は原則、生活保護の支給対象外。全額自己負担のため、Sさんは高額な治療費を自力で払えず、病院が立て替えた費用を生活保護費の中から、少しずつ返済しながら治療を続けていた。
 Sさんが多発性骨髄腫を発症したのは5年前。夫と離婚し、子ども3人を育て上げた後の“悲劇”だった。軽い転倒にもかかわらず、脊髄を損傷してしまったのだ。整形外科に緊急入院したが、痛みは激しさを増すばかり。
 医師の勧めで精密検査を受けたところ、多発性骨髄腫だと分かった。その後、入退院を繰り返し、仕事も辞めざるを得ない状況に。発症から約半年後、貯金も底をつき生活保護を申請した。
 多発性骨髄腫は血液のがんの一種で、国内ではサリドマイドに治療効果があるとされる。Sさんもいくつかの抗がん剤を試したが、副作用が強く、サリドマイド以外に「有効な治療法が見つからなかった」という。一日2錠を服用し、毎月の治療費は4万円超。病院からの請求額は、5月現在で約50万円にまで膨らんでいる。
 壱岐議員が、Sさんから「貧乏人は命をつなぐ薬すら飲む権利がないのでしょうか」との相談を受けたのは昨年9月。Sさんに代わって、厚生労働省に特別申請の手続きをしたものの受理されなかった壱岐議員は今年1月、元厚労副大臣の桝屋氏に相談。幾度となく連携を取り合う中、桝屋氏は、衆院予算委員会分科会などで舛添要一厚労相に対して、保険適用外の未承認薬による治療費も生活保護の対象とするべきだ、と主張。その結果、厚労省は3月、同省内の「未承認薬使用問題検討会議」で、早期の承認等が必要と判断された医薬品に限り、一定の条件を満たせば生活保護の特別基準を適用することを決めた。公明議員の連携プレーが国を動かした瞬間だった。
 壹岐議員と固い握手を交わしたSさんは、「まさか自分の声が国に届くなんて。壹岐さんをはじめ、公明党には感謝してもしきれません」と、喜びを語っていた。