暴力団の“恐ろしさ”知って――。福岡県警察本部が今年度から、県内全ての中・高等学校を対象に実施している県臨時警察職員(“暴排先生”)による授業「暴力団排除教育」の受講者数が、1月13日時点で20万人を突破した。専任職員の配置は全国初で、青少年の暴力団加入と犯罪被害防止を図る取り組みとして関係者から注目を集めている。暴力団対策の強化に取り組んできた公明党県議団(森下博司団長)はこのほど、福岡市立の高等学校で行われた暴排先生による授業風景を視察した。

 「福岡県には全国最多の五つの指定暴力団の本拠地があります」。暴排先生の言葉に、体育館に集まった1、3年生約560人から、どよめきが起こった。「発砲事件は全国最多の18件。この5年間で11人が亡くなっています」。驚きの表情を浮かべる生徒らは、スクリーンに映し出される暴力団事務所の写真や組織図を真剣に見入っていた。
 続けて、暴排先生は上納金に困った組員から勧誘された少年による窃盗事件などを紹介。「暴力団に関わった少年少女にハッピーエンドはない」と語気を強めると、生徒たちは静まりかえっていた。
 同県は、暴走族グループ数をはじめ、シンナー乱用率や少年非行率がいずれも全国上位。そのため、犯罪を通じて青少年が暴力団と接触する危険が懸念されている。
 こうした背景から県警は、県暴力団排除条例第14条(青少年に対する教育等のための措置)に基づき、今年度中に県内全ての中・高等学校において「暴力団排除教育」を実施する方針。
 授業を担当する暴排先生は、国の緊急雇用創出事業で採用した教員免許を持つ20~30代の県臨時警察職員(通称・暴力団排除教育サポーター)9人。(1)暴力団の情勢、悪質性と実態(2)薬物などの暴力団犯罪の特色(3)暴力団への防御手段――について呼び掛けている。
 県警が受講生徒のうち約2万4000人を対象に行ったアンケート調査では、97%の生徒が「授業が分かりやすかった」と回答。暴排教育の十分な効果が認められる一方で、「自分もしくは身近な人が暴力団に入るよう勧誘された」と答えた生徒が2%を超え(約550人)、暴力団による青少年への勧誘実態が判明している。
 『党県議団 教育の強化を推進』
 これまで党県議団は、議会のたびに暴力団の徹底的な取り締まり強化をはじめ、抗争や事務所周辺の地域対策など、暴力団排除への環境整備を主張。昨年6月議会では、壹岐和郎議員が「暴力団の被害に遭う青少年を、また暴力団に加入する子どもを一人も出してはならない」と、暴排教育のさらなる強化を訴えていた。
 視察後、森下団長らは「暴力団から青少年を守るため、来年度も経験を積んだ暴排先生を継続雇用できるよう後押ししたい」と語っていた。