二十七番(壹岐 和郎君)登壇

 公明党の壹岐和郎でございます。通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 障害者差別の解消について、知事に六点ほど質問します。障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、通称障害者差別解消法が平成二十五年六月十九日成立しました。この法律は障害者への差別的な取り扱いを禁止する内容で、国連の障害者権利条約の批准に必要な国内法として整備されたものです。この権利条約は二〇〇六年十二月国連総会において全会一致で採択、二〇〇八年五月三日に発効、二〇一三年八月現在で百三十三カ国が批准しています。概要は、宮崎繁樹明治大学名誉教授の説明によると、全世界に六億五千万人の障害者がいるが、障害者は建前としては健常者と同じ権利が与えられながら、実際には、雇用、教育、保健・医療、法的権利行使等の面で、差別を受けている状況にある。五十カ条から成る条約は、加盟国に対し市民的・政治的権利、教育を受ける権利、保健・労働・雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセスなど、障害者保護への取り組みを求めている。なお、規定された諸権利の侵害について、障害者の権利委員会への個人通報を可能にする選択議定書も予定されている。日本は二〇〇七年九月二十八日、当時の高村正彦外相が国連本部で署名、国内法整備の上、早期批准を目指していると述べています。この条約は、あらゆる障害のある人の尊厳と権利を守る、いわば人権に関する条約と言えます。条約は憲法の制約は受けますが、基本的には国内法よりは優越しますので、既存の法律が条約に反している場合には改正が必要となります。新たな法律が必要ならば立法も求められます。よって、この条約を批准することの重さと意義ははかり知れないものがあると考えます。また、障害者だけではなく、人権を守るという観点から、同日には子ども貧困対策推進法、二十一日には、いじめ防止対策推進法、改正障害者雇用促進法、改正精神保健福祉法、被後見人に選挙権を付与する改正公職選挙法が成立するなど大きな転換点とも言える時点に立っているものと考えます。
 そのような環境下で、障害者基本法の趣旨にのっとり、差別を解消するための具体的な対応を図るためにこの法律が成立したわけです。第一条の目的には、障害を理由とする差別の解消に関する基本的事項や、国の行政機関、地方公共団体、民間事業者などにおける障害を理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につなげるとしております。この法律の大事なポイントとして障害者の定義が記されており、そこには、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」とあります。そして、この社会的障壁とは「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と定義されております。改正前の基本法では、障害者の定義は、「障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」という定義であったものから、社会的障壁という新しい概念を導入したことは、障害を単なる個人の持つ要因として捉えるのではなく、社会側の不備との相互作用によって生まれるという、画期的とも言える考え方のもとに法整備されています。つまり、今までの障害者に関する問題が、福祉という尺度から人間として当然の権利という尺度に変わったということです。国及び地方公共団体の責務として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。」、また「行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。」とあります。また、行政機関等については、障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合、実施に伴う負担が過重でないときは、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を義務づけております。同様な要請に対し民間事業者は努力義務が課されております。そして、この法律の施行日は二〇一六年四月一日であり、今年度中に政府全体の方針として、差別の解消の推進に関する基本方針が策定され、地方公共団体等は取り組みに関する要領を策定することが努力義務として掲げられております。どの程度具体的なものが示されるか明確ではありませんが、対応方針が今年度中に示されることになっております。
 知事に、以下六点質問します。一連の最近の障害者にかかわる法整備の状況を、知事はどう捉えておられるのかお聞きします。
 二点目に、この法律の運用をより効果的に行うために、また福岡県として主体的な取り組みをするためには、今まで以上に障害者や家族、支援者、障害者団体などの当事者の声を広く、深く聴取していくことが必要と考えますが、どのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお聞きします。
 三つ目、この法律の考え方は既に世界の常識であり、教育、雇用、スポーツ、医療、交通、文化など、社会生活全般にわたるものであり、県としても全庁的に取り組むのは当然ですが、二〇一六年四月施行まで約二年半、この期間を待つまでもなく、福岡県障害者福祉計画や福岡県福祉のまちづくり条例の見直しを含め、手をつけるべきものについては、即座に事業に反映すべきと考えますが、知事のお考えをお聞きします。
 四つ目、内閣府が地方公共団体向けに出しているこの法律に関するQアンドAには、条例との関係という項目を設け、「地方公共団体が地域の実情に即して、いわゆる上乗せ、横出し条例を含む障害を理由とする差別に関する条例を制定することは、当然に可能」とし、施行までに周知するとの書きぶりです。今後、国の方針も示されますが、県民幸福度日本一を掲げる福岡県として、福岡県福祉のまちづくり条例の抜本的改正を含め、知事の考え方や福岡県の実情を十分に反映した条例の制定に取り組む必要があると考えますが、知事のお考えをお聞きします。
 五点目に、障害者を、障害を持った人として特定すれば限られた少数かもしれませんが、家族や支える人々、身近な地域の人々、職場、教育現場、友人関係など取り巻く環境を考慮すれば決して少数者ではありません。また一方、超高齢社会はますます進行し、当然、それに伴い視覚や聴覚など身体的に問題がある人の割合は確実に上昇していき、社会全体の仕組みは当然そのことに対応したものにしなければ、社会の活力はどんどん損なわれていきます。そのためにも、例えば、子育て応援宣言企業を推進する事業がありますが、障害者や高齢者を加味した事業はできないものか、家電リサイクル事業などで障害者雇用が生まれないかなど、全てのハード、ソフトの事務事業において障害者など何らかのハンディを持った人々がスムーズに社会参加できることを念頭に置いたものとするぐらいの発想を、事務事業立案段階で取り入れていく仕組みが必要と考えます。また、そのためには障害者福祉部門だけではなく、全県庁職員の意識改革に取り組む必要があると考えますが、知事のお考えをお聞きします。
 最後に、合理的配慮は固定的なものではなく、時代や住民意識の変化、科学技術の進歩などにより、発展、進化すべきものと考えます。今後、不断に合理的配慮の範囲を見直し、社会的障壁を限りなく低くする努力が必要と思います。例えば、よく目にしますが、映画館などで車椅子用のスペースが最前列に配置されていることが、よく見かけます。スペースがあればよいのか。でも、誰も首が痛くなるような位置で映画を見たくはありません。では、選択ができないのはいたし方ないのか。また、例えば、視覚障害者の従業員が、業務に関する資料を読み上げソフトに転換するために、データでの提供を求めることは過度な要求かどうか。車椅子の従業員が二階へも行けるようにするためエレベーターをつけてほしいと事業主に要求することはどうか。具体的に挙げればさまざまな要素を今後、加味しなければならない判断に困るような事案が、現実にあらわれてくると思います。権利条約の基本的な考え方は、障害の人に対して特権的な権利を与えたり、特別な扱いをしたりすることではなく、全ての人が平等に扱われること。それを実現するためには、合理的な配慮のように、これまでは広く受け入れられなかったやり方を持ち込む必要がある。多数派を中心とした画一的な仕組みから、個別のニーズを尊重する多様で柔軟な仕組みに変えること。この条約が我々に提起しているのは、そのような発想の転換に基づいた社会構造の変化です。誤解を恐れずに言えば、弱者救済的な福祉の考え方から、権利という尺度により対応していくという、我が国の障害観の転換を迫られていると言えます。県民意識の醸成や今後の知事のこの理念を反映した県政運営を着実に進めるために、どのように取り組まれるのか、知事のお考えをお聞きします。
 この法律が施行されることによって、直ちに障害者を取り巻く環境が劇的に変化するとは考えておりません。財源の制約もあります。むしろ、何が優先され、どのようなことが考慮されなければならないかを判断する哲学が問われております。知事の誠意ある答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

副議長(長 裕海君)

 小川知事。

知事(小川 洋君)登壇

 お答えを申し上げます。
 障害者にかかわる法整備状況についてでございます。国におきましては、この数年、国連総会で採択されました、議員御指摘のありました障害者の権利に関する条約の批准に必要な国内法の整備を行っているところでございます。平成二十三年八月に、地域社会における共生の実現に向けまして障害者基本法の抜本的な改正が行われました。これによりまして、まず発達障害が追加をされました。また、障害者の定義といたしまして、そうした障害がある者であって障害及び社会的障壁により日常生活、社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものとされたところでございます。また、差別の禁止のために必要な措置といたしまして、社会的障壁の除去に対する合理的な配慮の義務化など、それらの規定も整備されたところでございます。その後、平成二十四年十月には障害者虐待防止法、また本年四月には障害者総合支援法がそれぞれ施行され、ことしの六月でございますが、障害者差別解消法が制定されたものでございます。これら一連の法整備というのは、全ての国民が障害の有無にかかわらず、相互に個性の相違と多様性を尊重し、人格を認め合う共生社会の実現を目指すために障害者にかかわる制度の集中的な改革を図るものであると、このように私は考えております。
 障害者の家族、支援者、障害者団体など当事者の声の聴取についてでございます。障害者差別解消法に基づきまして各地方公共団体は、事務事業の実施におきまして、社会的障壁を除くための個別具体的な対応に関する基本的な方針を定めた要領というものを策定する必要がございます。この要領の策定に当たっては障害者御本人、その家族で構成されている団体、そして障害者福祉事業を運営する団体、それらの団体に属する委員などによって構成されます福岡県障害者施策審議会、福岡県自立支援協議会、それらから御意見をお伺いするとともに、毎年実施をしております障害者との意見交換の結果なども反映させてまいる考えでございます。
 障害者福祉計画や福祉のまちづくり条例を見直し、差別解消のための新たな条例についてお尋ねがございました。これらの御提案につきましては、今後、政府から示される予定の差別の解消の推進に関する基本方針の内容が明らかになった段階で、その必要性を含め検討をさせていただきます。
 県の職員の意識改革でございます。県では、私の県民幸福度日本一の福岡県を目指して、障害のある人もない人もともに支え合う共生社会の実現に向け、さまざまな施策を実施しているところでございます。また、施策の展開に当たりましては、障害者を含めた人権に関する正しい認識と理解を深めるために、毎年全職員に対しまして人権問題に関する研修を実施し、意識の醸成を図ってきているところでございます。今般の障害者差別解消法の制定を踏まえまして、各部局のあらゆる事務事業におきまして、社会的障壁の除去にかかわる合理的な配慮が的確に行われるよう、また差別解消の視点がしっかり反映されるよう、より一層全職員の意識を高めてまいる考えであります。
 県政の運営や県民意識の醸成に当たり、弱者救済の福祉から権利への考え方、転換すべきではないかとお尋ねでございます。広く県民の皆様に障害に対する理解を深めていただくために、先ほど答弁いたしましたが、毎年十二月障害者週間における各種の取り組みでありますとか、春と秋の障害者スポーツ大会などを実施しまして、県民の皆様の啓発に努めてきたところでございます。今後もさまざまな機会を捉えて啓発を行っていくことによりまして、障害者差別解消法の理念を初め共生社会の実現に向けた県民の皆様の意識の醸成に取り組んでまいります。また、私はこれまでも全ての県民が障害の有無にかかわらず、ひとしく基本的人権を有するかけがえのない個人として尊重されることを基本といたしまして、県政の運営に当たってまいりました。今後も引き続き、この基本的な理念のもとで、障害者の皆さんが個性や能力を存分に発揮して積極的に社会参加できる社会、その実現を目指していきたいと考えております。

副議長(長 裕海君)

 壹岐和郎君。

二十七番(壹岐 和郎君)登壇

二点ほど再質問させていただきます。
一点目は、障害者や家族団体などが属する審議会等、また協議会等で意見を聞かれる、また一年一回ある障害者団体等の意見を聞くと。非常にこれもすばらしいというか、ことなんですけれど、これで県民幸福度日本一という知事の考えをしっかり反映した意見の聞き方かなというふうに正直言って思います。個別具体的に常に障害者の方々の状況は日々変化しており、また代表者だけの考え方ではなかなか伝わってこないものがたくさんあると思います。これは知事も十分わかると思いますが、ぜひ福岡県としてそういう意見を吸い上げる何らかの仕組みというか、ものをつくっていただきたい。そうして初めて、そういう血の通った障害者施策ができるのではないかというふうに思いますので、そういう仕組みを何か検討していただきたい。その検討はどうかということでお聞きします。
 二点目は、今、国の基本方針の後に、いろいろと不備があれば、または足りない点があれば考えましょう、確かにそのとおりなんですけれども、例えば、今福岡県福祉のまちづくり条例というのがあります。この条例の定義のところに、高齢者、障害者等と、これは何を指すかというと、「高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児を連れた人、病弱者、その他の日常生活または社会生活において行動上の制限を受けている者をいう。」。確かにこれもこのとおりなんですが、これは、障害者基本法からいっても、むしろ障害者基本法のほうが社会的障壁とか、合理的配慮とか、やはり人権に配慮した規定になっている。わざわざつくった条例がそれを超えたものではないということから考えて、基本方針が出る前に、既にやっておかなくちゃならないことがあるんじゃないかなというふうに思います。この辺は、もう少し丁寧に条例と、また今足元についてどうかということをもう一度検討していただきたいということの、知事の考えをお聞きして、質問を終わります。
 以上です。